猫は言葉を話せないので、体調を崩しても飼い主に訴えることができません。
弱った姿を見られたくないという野生時代の本能から、むしろ不調や異常を隠そうとします。
だからこそ、病気や怪我のサインを見逃さないように飼い主がきちんと観察してあげることが重要なのです。
スキンシップや普段のお世話のついでにできる猫の健康チェックポイントについて解説します。

・目のチェック
充血していたり目やにや涙が出すぎていないかチェックしましょう。黒や赤茶色の乾いた目やにが少し付いている程度であれば正常の範囲内です。細菌感染やアレルギー性の病気にかかっている場合は黄色や緑色の湿った目やにや大量の涙が出ます。瞬膜(目頭側にある白い膜)が常に出ていたり赤く腫れている場合は全身性の病気の可能性があります。

・耳のチェック
茶色の耳垢が少し付いているのは正常ですが、量が多かったり耳垢の色が黒くて嫌なニオイがする場合はマラセチア性外耳炎や耳ダニの可能性があります。やたら耳をかいたり頭を振る仕草をしていないかチェックしましょう。

・鼻のチェック
鼻水が大量に出ていたり何日もくしゃみが止まらなかったら、猫風邪・アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎等の可能性があります。鼻血が出ている場合はガンや血小板の異常を疑った方がよいでしょう。猫はめったに鼻血を出さないうえに、鼻はガンができやすい部分だからです。つまり、猫が鼻血を出しているということはかなり深刻な状態であると言えます。

・口のチェック
よだれが出ていたり口臭がひどくないかチェックしましょう。歯茎の色が白っぽかったら貧血、赤く腫れていたら歯肉炎や口内炎の可能性があります。食事中の様子にも注目するようにしてください。口の中に何らかのトラブルを抱えていると、痛みのせいで上手く食事ができず食べづらそうにしていたり、フードをよくこぼすことがあるからです。

・皮膚のチェック
傷・湿疹・脱毛・フケの有無をチェックしましょう。よく舐めたり噛んだり体を擦り付ける仕草をしていたら、痒みや痛みを感じている可能性が高いです。怪我等で内出血している場合は皮膚の色が青紫や赤紫になります。

・排泄物のチェック
排泄物は健康のバロメーターです。色・量・回数・ニオイの他に、便は硬さもチェックしましょう。健康な尿の色は透き通った薄い黄色です。しかし、慢性腎不全の場合は透明に近い色になり、膀胱炎の場合は白く濁ります。血液が混ざって赤や茶色っぽい色をしていたら膀胱や尿道の炎症、キラキラと光るものが見えたら尿路結石の可能性があります。猫は1日2~3回尿をしますが、1回もしないか5回以上する場合は要注意です。体重4kgの猫であれば、正常な尿量は1日100mlなので、これよりも少なすぎたり多すぎるようなら病気を疑いましょう。便の場合は1日1回、やや硬めで人間の人差し指1本ほどの太さと長さがあり、茶色かこげ茶色をしていれば正常です。水分を摂りすぎたり脂肪分の多いものを食べすぎると、便が柔らかくなることがあります。消化不良だと濃い黄色、胆汁が不足したり膵臓の機能が低下すると灰色がかった黄色や白っぽい色の便が出ます。赤い便や真っ黒な便の場合は消化管内で出血している可能性があります。