老猫の介護を無理なく続けるために大切なこと

猫の老化は7歳を過ぎたら徐々に始まるとされています。
長生きしてくれるのはもちろん嬉しいですが、寝たきりや認知症で介護が必要になる可能性があることも覚悟しておかなければなりません。
大変でも介護をするのは飼い主の義務です。
しかし、無理をし過ぎてダウンしてしまったら元も子もありません。
いつか必ず訪れる老猫との暮らしに備えて、介護を無理なく続けるポイントを詳しく解説します。

・トイレと粗相
足腰が弱った老猫にとってはトイレまで行くのも一苦労です。面倒くさがって寝床で排泄したり、トイレまで間に合わずに粗相をしてしまうことがあります。お気に入りの場所や寝床の近くにトイレを置いてあげましょう。トイレの縁が高いと乗り越えられないことが多いので、縁の低いトイレに変えたり、スロープを付けて段差をなくすといった工夫をすることも重要です。ペットシーツをトイレの周りに敷いておくと、粗相をした時でも掃除がしやすくなります。寝たきりの猫の場合はオムツをさせましょう。しっぽを出す穴を開ければ、人間の赤ちゃん用のオムツでも代用できます。

・食事
老猫は内臓の機能や消化吸収力が低下しているので、若い頃と同じ食事をせていると消化不良を起こしてしまいます。「高齢猫用」や「シニア用」と書かれた老猫向けのフードに切り替えましょう。ドライフードは水かぬるま湯でふやかしてあげると食べやすくなります。それでも食べにくいようであれば、ウェットフードに切り替えても構いません。お皿に入れても食べてくれない場合はスプーンや手から直接与えてみましょう。病気で食欲が落ちていたり、固形物がどうしても食べられなかったら、流動食をシリンジやスポイトで少しずつ口の中に流し込んでください。

・寝床
老猫は睡眠時間が長いので、快適な寝床作りは欠かせません。夏場は風通しがよく冷房の風が直接当たらない場所に寝床を置き、体が冷えすぎないようにしましょう。冬場はタオルにくるんだ湯たんぽやカイロを入れて温めてあげましょう。寝床に使用するベッドやマットは適度な硬さのあるものがオススメです。柔らかすぎると足元がふらついて足腰に負担がかかります。寝たきりになってしまったら、床ずれ防止のために低反発マットを敷いてあげるとよいでしょう。

・体のお手入れ
毛が抜けやすいので、優しくゆっくりとなでるようにブラッシングをしてあげましょう。猫は年を取って体の柔軟性が落ちると、グルーミングをあまりしなくなります。目・口・肛門の周りが汚れていたら、水かぬるま湯に浸したコットンかペット用のウェットティッシュでそっと拭き取りましょう。

・一人で頑張り過ぎない
かけがえのない大切な愛猫のためでも、一人で頑張り続けていたら疲れて限界が来てしまうかもしれません。全ての介護を完璧にこなそうと思わず、できる限りのことをすると心がけてください。頼れる人がいるのであれば、相談に乗ってもらったり協力をお願いしてみましょう。

いつまでも健康に!猫がかかりやすい病気と予防法

愛猫に長生きしてほしいと願うのは飼い主として当然のこと。
しかし、長生きすればするほど病気のリスクが高まるのは人間も猫も同じです。
元気そうに見えても、体の中で病気が進行しているかもしれません。
猫が特にかかりやすい病気について詳しく解説します。
症状や予防法を知っておけば、早期発見や発症後のケアに役立てることができます。

腎臓病
・原因
猫の腎臓病の原因ははっきりと分かっていません。一説によると、元々砂漠の生き物だった猫は水分をあまり摂らないので尿を濃縮して排出する必要があり、腎臓に負担がかかりやすいからだとされています。また、血液中の老廃物を濾過して尿を作る腎臓のネフロンという組織が加齢によって破壊されることも原因のひとつと考えられています。

・症状
多飲と多尿が初期症状として現れ、尿の色やニオイが薄くなります。さらに症状が進むと元気がなくなり、食欲が落ちてきます。腎臓の機能が低下することで老廃物や毒素が体内に蓄積し、ひどい口臭・嘔吐・下痢といった症状が現れるようになります。

・予防法
新鮮な水を常に飲める状態にしておき、食事とおやつに気をつけることで予防が可能です。いつもドライフードを食べている猫の場合は時々ウェットフードを与えてもよいでしょう。リンとナトリウムが控えめでオメガ3脂肪酸とタンパク質を適度に含んだフードを選び、塩分の多いおやつを与え過ぎないように注意してください。

糖尿病
・原因
原因としてよく挙げられるのは肥満・運動不足・食べ過ぎ・加齢による基礎代謝の低下です。服用している薬の副作用や膵炎が原因となることもあります。遺伝的な素因によって糖尿病になりやすい猫もいます。

・症状
腎臓病と似た初期症状が現れます。インスリンの働きが弱まることで糖質を吸収できなくなり、たくさん食べても太らず、むしろ痩せていきます。症状が進むと、後ろ足のかかとを地面につけて歩いたり、目が白濁したり、けいれんや発作を頻繁に起こすようになります。

・予防法
1日分の食事を3~4回に分けて与えると、食後の血糖値の急激な上昇を抑えられます。来客・騒音・香水やアロマのニオイ等でストレスを感じると一時的に血糖値が上昇するので、なるべくストレスの少ない生活環境を整えてあげてください。可能であればキャットタワーを設置したり、一人遊びができるおもちゃを用意して運動不足が解消できるようにしましょう。

ガン
・原因
ウイルス・ホルモン・遺伝・化学物質・加齢・紫外線・受動喫煙等が原因とされています。ごく稀に、ワクチンを接種した部位に肉腫ができてガン化することもあります。

・症状
ガンのできた場所によって様々な症状が出ますが、共通しているのはリンパ節の腫れ・食欲不振・体重減少・貧血等です。

・予防法
残念ながら、ガンには有効な予防法がありません。ただし、精巣・子宮・卵巣・乳腺のガンは去勢・避妊することで予防できます。老猫はガンのリスクが高いので、7歳を過ぎたら半年に一度は健康診断を受けましょう。

太りすぎは危険!猫を上手にダイエットさせる方法

愛猫が最近太ったと感じたことはありませんか?
太っていても痩せていても猫はかわいいですが、太りすぎを放置するのはよくないことです。
猫が太る原因の多くは食べすぎなので、つい甘やかしてごはんやおやつをあげすぎてしまうという飼い主さんは心を鬼にしてダイエットをさせましょう。
太りすぎの猫を健康的に痩せさせる方法について解説します。

・猫の適正体重と太りすぎの判断基準
種類や性別による個体差があるため、「適正体重は何kg」と一概に言うことはできません。ただ、一般的に猫は1歳を過ぎると成長が止まってあまり体重が変化しなくなります。よって、1歳を迎えた時の体重がその猫にとっての適正体重だと考えて頂いて構いません。メインクーン・ラグドール・ベンガル等の大型種は2~3歳頃までゆっくりと成長し、10kg近くまで体重が増えることがあります。しかし、体重はあくまで目安なので、見た目や肉付きで判断した方がよいでしょう。立った状態の猫を真上から見た時、ウエストにくびれがなくて樽やひょうたんのように膨らんでいたら、太りすぎです。脇の下を触ってみて肋骨の位置が確認できない場合も同様です。

・太りすぎによって起こる健康上のリスク
太りすぎの猫は糖尿病のリスクが高いです。心臓・関節・血管への負担が増えるため、心臓病・関節炎・高血圧にもかかりやすくなります。何らかの病気や怪我で手術をしなければならない場合、麻酔が効きにくいというリスクもあります。脂肪が麻酔を吸収してしまい、脳まで行き届かないのです。また、皮膚病・下部尿路疾患・口内炎等の発症リスクも太りすぎと大きな関連があることが研究により判明しています。

・食事を見直してダイエット
猫に必要な1日の摂取カロリーは「体重×80キロカロリー」が目安です。あまり動かない猫の場合は80キロカロリーを70キロカロリーに置き換えて計算してください。適切なカロリーが分かったら、余分なカロリーを摂らせないように量を調節して与えましょう。キャットフードのパッケージに記載されている給与量を参考にすると、分かりやすいです。目分量だと多く与えてしまいがちなので、面倒でも毎回きちんと軽量することをオススメします。低カロリーで少量でも満腹感を得やすいダイエットフードに切り替えると、効率よく体重を落とすことが可能です。3~4回の小分けにして与えることで、脂肪がつきにくい体になります。ダイエット中はおやつはあげないのが理想ですが、どうしても欲しがる場合はなるべく低カロリーのものを選ぶようにしましょう。

・運動をさせてダイエット
猫に長時間の運動は必要ありません。無理に運動させても、すぐに疲れてしまいます。数分でよいので、1日に2~3回猫と遊んであげましょう。猫は上下運動を好むため、キャットタワーを設置するのもオススメです。階段があればおもちゃで誘って昇り降りさせたり、家具の配置を変えて段差を作り上下運動ができるようにしてあげるとよいでしょう。

種類が多くて迷っちゃう!キャットフードの正しい選び方と与え方

キャットフードの種類が多すぎてどれを選べばいいか分からないと思ったことはありませんか?
毎日の食事は健康を支える重要なポイントなので、かわいい愛猫にはできるだけ良質なキャットフードを食べさせてあげたいものです。
キャットフードの正しい選び方と与え方について詳しく解説します。

・主食は総合栄養食
キャットフードには総合栄養食・一般食(副食)・おやつ(間食)・療法食・目的食の5種類があります。このうち、主食として最適なのは総合栄養食です。総合栄養食には猫に必要な栄養素が全て含まれており、水と一緒に与えるだけで健康を維持することが可能となっています。一方、一般食は栄養バランスよりも嗜好性の高さを重視しているため、主食にするのはオススメできません。主食の食いつきが悪い時に少し混ぜてあげたり、ご褒美やおやつ代わりに時々与える程度で充分です。普段は総合栄養食と水のみでも問題ありませんが、病気の時は獣医の指示の下で療法食を与えたり、毛玉ケア・オーラルケア・肥満対策等が必要な場合はそれぞれの症状に効果的な目的食に切り替える

とよいでしょう。

・原材料が肉や魚
猫は肉食動物なので、動物性タンパク質が欠かせません。よって、原材料に肉や魚が使われているフードを選ぶ必要があります。オススメの原材料はチキン・ターキー・サーモンです。

・穀物が少ない
フードによっては、かさ増しとコスト削減のために肉や魚を減らし穀物を大量に使っているものがありますが、猫は穀物を消化するのが苦手です。猫の体に負担をかけないように、穀物が少ないフードを選びましょう。価格はやや高めですが、グレインフリー(穀物不使用)のフードもオススメです。

・人工添加物が少ない
人工添加物が使われているからといって必ずしも粗悪品であるとは限りません。ただ、猫の健康を考えるとやはり人工添加物は少ない方が安全です。特にエトキシン・BHA・BHT・没食子酸プロピルは人間の食品にも使えないほど危険な人工添加物なので、原材料欄にこれらの記載がないか確認するようにしましょう。

・子猫の食事の与え方
子猫は消化器官が未発達なので、一度にたくさん食べることはできません。少量ずつ3~4回に分けて与えましょう。生後6ヶ月を過ぎたらフードの量を徐々に増やし、成猫になるまでの半年間の間に食事の回数が2回になるように調整してください。いきなり回数を減らすとストレスになるので、最初のうちは食事が4回の日と3回の日、3回の日と2回の日をローテーションで回すといった工夫をするとよいでしょう。

・成猫の食事の与え方
成猫の食事は1日2回、朝と夜に与えるのがベストです。しかし、食事と食事の間隔が長いと空腹になり過ぎてしまうので、猫の様子を見て調整しましょう。1日分のフードを器に盛り、食べたい時にいつでも食べられるようにしておいても構いません。不規則な仕事をしていたり、よく帰りが遅くなる飼い主さんの場合は自動給餌器をセットすると安心です。

・老猫の食事の与え方
老猫の食事の与え方は子猫と似ています。消化器官が弱っているので、小分けにしたフードを1日に3~5回与えましょう。

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